平常展 芝村義邦コレクション 相撲錦絵

展示期間 前期 平成18年2月 8日(水)〜平成18年2月26日(日)
後期 平成18年2月28日(火)〜平成18年3月19日(日)

浮世絵

 浮世とは戦国の世がおわりを迎え、平和となった現世をひたすら謳歌する生き方を意味します。それまでの無常観の憂世(うきよ)から決別した態度、すなわち、現世を楽土と見る考え方が芽生えました。17世紀後半、それが近世初期絵画の世界にも投影されて、浮世を画題とした浮世絵が成立しました。
 浮世絵は、美人画・役者絵・風景画・花鳥画などがありますが、力士を描いた相撲絵を今回はご覧いただき、力士たちの様々な状況をとらえた世界をお楽しみください。

 
展示作品リスト
<<前期>>
作品番号 作品名 作家名 年代
377 鬼若力之助
(おにわかりきのすけ)
歌川国芳 嘉永3〜5年
(1850〜52)
237 黒岩と小柳之取組
(くろいわこやなぎのとりくみ)
歌川豊国(初代国貞) 嘉永3〜5年
(1871〜72)
74 関取大井川越
(せきとりおおいがわごえ)
歌川国貞(二代) 慶応元年(1865)
80 勧進大相撲八景稽古之図
(かんじんおおずもうはっけいけいこのず)
歌川国貞(初代) 天保15年(1844)
487 人気力士 宴会之図
(にんきりきし えんかいのず)
歌川国輝 明治3年(1870)
496 見立通俗三国志
(みたてつうぞくさんごくし)
歌川国輝 明治4〜5年
(1871〜72)

※ (377以外は三枚組)

<<後期>>
作品番号 作品名 作家名 年代
147 阿武松と稲妻之取組
(おおのまついなづまのとりくみ)
歌川国貞(初代) 文政11年(1828)
520 陣幕久五郎横綱土俵入之図
(じんまくきゅうごろうよこづなどひょういりのず)
歌川国輝 慶応3年(1867)
490 人気力士宴会之図
(にんきりきしえんかいのず) 
歌川国輝  
511 境川と象ヶ鼻之取組
(さかいがわぞうがはなのとりくみ) 
歌川国輝 明治4年(1871)
502 秀ノ山稽古場繁栄之図
(ひでのやまけいこばはんえいのず)
歌川国輝 明治2〜3年
(1869〜70)
484 幕内人気力士宴会之図
(まくうちにんきりきしえんかいのず)
歌川国輝 明治4〜5年
(1871〜72)

※ (147以外は三枚組)

※ 期間中、展示を変更する場合がございます。また展示室は作品保護のため、
 照明を落としてあります。ご了承ください 。

相撲

 相撲は、土俵内で2人が組み合い、相手を倒すか、土俵外に出すことによって勝負を争う競技です。歴史的には、『日本書紀』垂仁天皇の条の野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹶速(たいまのけはや)の力比べがでてきます。734年聖武天皇のときから300余年天覧(節会相撲)が行われるようになりました。安土桃山時代に生まれた職業相撲は、江戸時代の中ごろ現在の大相撲に近い組織や制度となり、大衆の人気を呼びました。

 相撲絵とは文字通り、相撲の力士を描いた錦絵です。江戸時代の相撲は、室町時代からの流れを受けて、社寺の建立や修復の資金を集めるための勧進相撲として発達しましたが、後にはその目的は形骸化しました。勧進相撲の名称と、社寺の境内に土俵と客席を構えるという形こそ存続したものの、営利を目的とした興行となりました。勧進相撲は明和・安永(1764〜81)の頃から盛んになり、力士の専業化も進みました。また、勧進の名目の形骸化に伴い、興行の場所と時期が次第に固定化されるようになりました。場所は、天明頃から本所回向院で行われることが多くなり、時期は安永から幕末までは春と冬の2回に、晴天10日ということがほぼ定例となりました。
相撲絵には、土俵上の取り組みの姿や、まわしを締めた力士の一人立ちの姿を描いたものにとどまらず、支度部屋の内部を描いたものや稽古場の光景を描いたもの、あるいは着物を着た土俵外の日常姿を描いたものなどがあります。

 
作者紹介
●歌川国芳(1797〜1861)
 初代歌川豊国の門人で、初代国貞や初代広重と並ぶ歌川派の牽引者。魁偉な面貌描写と大胆な構図による武者絵で一世を風靡したが、他に美人画・風景画・魚類画・戯画・風刺画などを近代的感覚をもって描いている。一勇斎・採芳舎・朝桜楼などと号した。
●歌川国貞(1786〜1864)

 初代歌川豊国の門人で、のち英一珪に学び、清新な美人画や道感あふれる役者絵を描いて人気を博した。初代没後は豊重が跡を継いだが、これを認めず、自ら豊国二代を唱えている。一雄斎・五渡亭・月波楼・香蝶楼などの号をもつ。

 
田原市博物館/〒441-3421 愛知県田原市田原町巴江11-1 TEL:0531-22-1720 FAX:0531-22-2028
URL: http://www.taharamuseum.gr.jp